気まぐれな消費者たちが向かう先

いまいちばんの売れ筋は何か、国中が追いかけている。

僕らはヒット商品を選び、語り、トレンドに振り回され、すっかり消耗されている。

でも現状をつぶさに観察すると、ラジオとテレビ放送で戦後はじまったヒットの構造が、いまや端から崩れつつあるのがわかる。

ヒットはもう威力を失ってきた。

いちばん売れる商品は相変わらずいちばんだけど、販売数が減っている。

要するに、ヒット作はいまだに注目の的ではあるけれど、もう昔のような富は生まないということだ。

気まぐれな消費者たちが向かう先はどこなのか。

それは一か所ではないだろう。

大市場がさまざまなニッチ市場に分裂し、その中へ消費者は拡散していく。

確かにインターネットは巨大な成長分野だが、無数の場を包み込む広大な海のようなものであって、これまでのメディアやマーケティングの常識で同じようにとらえるわけにはいかない。

(クリス・アンダーソン「ロングテール」より抜粋)

いかがでしょう。

アメリカの「WIRED」という雑誌の編集長、そして冒頭に紹介した「ロングテール」という本の著者、クリス・アンダーソンは「ヒットはもう威力を失ってきた。」と主張していますが、実際、日本でも同じ現象が起こってます。

たとえば、音楽シングル。

日本で一番売れたシングルは、1975年に発売された子門真人さんの「およげ!たいやきくん」

なんと454万枚も売れたようです。

しかし、現在は、2003年に発売されたSMAPの「世界で一つだけの花」を最後に、約10年ほど200万枚以上売れるシングルは出ていないような状況です。

直近のオリコンデータ(2011年)によれば、100万枚以上シングルが売れたアーティストは、AKB48だけ。

あの「マルマルモリモリ」ですら50万枚しか売れてない。そんな状況です。

もちろん、グッズの売り上げなどはかなりのものだとは思いますが、シングルの売上だけを見れば、「ヒット作はいまだに注目の的ではあるけれど、もう昔のような富は生まない」というクリス・アンダーソンの主張もうなずけます。

聞きたい曲があれば、その場でダウンロードできる。

今は、そんな時代です。

ひとむかし前であれば、CDショップに足を運んで、売り場に陳列されているCDを手に取りながら選んでいましたが、今や、そんなことをする必要はありません。

iTunesストアで検索すれば、どんな曲でも、ほぼ手に入ります。

昔は、CDショップの店員さんに聞いても「あー、その曲は、うちのお店には置いてないですね」と言われていたようなマニアックな曲でも、今はAmazonをはじめとするネットショップで買うことができます。

実際、Amazonでは、こういった1年にひとつふたつ売れればいいようなニッチな商品の売上を積み重ねた金額が、一部の大ヒット商品と同じくらいの売上規模になっているようです。

1年間に100万枚売れるシングルを売るのと、1年間に1枚しか売れないシングルを100万種類売るのは、売上金額にすれば同じこと。

今までは、1年に1つ売れるかどうかわからないという理由で店頭に置くことができず、失われていた売上が、インターネット技術の発達により「新たなニッチ市場」として無数に生まれた。

これが、アンダーソンの言うところの「大市場がさまざまなニッチ市場に分裂し、その中へ消費者は拡散していく。」という現象です。

そういったことが詳しく書かれているのが、冒頭に紹介した「ロングテール」という本。

この本にはインターネットを使って商売を行ううえで非常に役立つ知識が数多く書かれていますので、興味があれば、ぜひ読んでみてください。

ロングテールの市場原理を理解すれば「ひとつの人気商品を毎月500個売るのではなく、月に1つしか売れないニッチな商品を毎月500種類売る。」という考え方もできるようになります。

実際、私は、そこに目をつけてニッチ商品を何百種類も売ることで、自分のビジネスの立ち上げ期にAmazonのアフィリエイトで月100万円以上の利益をあげていました。

人気の商品は、そのぶん他にもアフィリエイトしている人がたくさんいるので、ライバルも多くなります。

が、「こんなの買う人いるのだろうか?」というようなニッチな商品は、他にアフィリエイトしている人、すなわちライバルも、ほぼいません。

しかし、「こんなの買う人いるのだろうか?」と思っても、実際いるんです、買う人が。

広大なニッチ市場に、幅広く網をはる。

こういう稼ぎ方ができるのもインターネットビジネスの醍醐味です。

また、この考え方は、ブログやホームページにアクセスを集める場合にも役立ちます。

たとえば、わずか5~6ページのホームページで、「ダイエット」という検索キーワードだけでアクセスを集めようと思っても至難のワザですが、ページ数をどんどん増やして、「ダイエット」以外でも様々な検索キーワードでひっかかるようにすれば、アクセス数もどんどん増えていきます。

検索キーワードの世界なんて、まさに「ロングテールの市場」そのもの。

人それぞれ、いろんなキーワードを打ち込んできますし、1年に1回検索されるかされないかわからないようなニッチな検索キーワードでも、自分のページが検索結果に表示されれば、そこからアクセスはきます。

広大な検索キーワードの市場に、幅広く網をはる。

これもまた、インターネットビジネスならではの集客手法です。

私が発信する情報が、あなたの成功の手助けになれば、とても嬉しいです。
今後とも末永く宜しくお願い致します。

雑記

Posted by 時枝宗臣