USP(ユニーク・セリング・プロポジション)とは何か?

USP(ユニーク・セリング・プロポジション)とは何か?

それは1940年代初めに、テッド・ベイツ&カンパニーで考案された理論。

あなたが、マーケティングというものを少しでも勉強したことがあるならば、それ自体の意味は詳しく知らなくても、言葉くらいは聞いたことがあるのかもしれません。

広告・マーケティングの世界に絶大なる影響を与えた伝説の人物、ロッサー・リーブスは自身が書いた本の中で「USP」を、こう定義しています。

1:広告はすべて、消費者に対して提案(プロポジション)をしなければならない。単なる言葉や、単なる製品礼賛、単なるショーウインドウ的広告ではなく、読む者にこう言わなくてはならない。「この製品を買えば、この便益(ベネフィット)が手に入ります」と。

2:その提案は、競争相手が示せない、もしくは示さないものでなければならない。それは独自(ユニーク)でなければならない。すなわち、そのブランド独自のものであるか、その分野の広告ではなされていない主張であること。

3:その提案は、数百万の人々を動かせるほど強力でなければならない。すなわち、製品に新規顧客を引き寄せられるものでなければならない。

以上の三つのポイントを一言にまとめるとこうなる。「独自な売りの提案(ユニーク・セリング・プロポジション)」。これがUSPだ。

(ロッサー・リーブス「USP」より抜粋)

それをうけて、インターネットマーケティングの立役者、マーク・ジョイナーは自身の著書「オレなら3秒で売るね!」で、こんな主張をしています。

ユニーク・セリング・プロポジション(USP)は、マーケティングの世界ではずいぶんもてはやされた言葉だ。

だけど、結局それって何なんだ?

USPの定義は、じつは人によって違う。

(マーク・ジョイナー「オレなら3秒で売るね!」より抜粋)

マーケティングをより深く勉強したことがある人なら、マーク・ジョイナーが言ってることにも共感できるのではないでしょうか。

なぜなら、実際、ダイレクト・マーケティング界の大御所、ダン・ケネディも「究極のマーケティングプラン」という本の中で、こう言ってるからです。

USPは、ライバルに対するあなたの位置づけを明確にするもの。例えば、あるスーパーマーケットチェーンがうちは「最安値のリーダー」だと言えば、そういう位置づけだと請け合ったことになる。

USPは、売り込むビジネスや商品、サービスの一番の売りを端的に知らせる方法でもある。1991年頃、クライスラーは運転席のサイドエアバッグを標準装備にしているアメリカ唯一の自動車メーカーであることをアピールしていた。当時はそれがクライスラーのUSPと言えたが、他社でも標準装備となっている今日、クライスラーは、この過密競争の自動車市場で他社を切り離す新たな方法を模索しているようだ。

USPは、あなたのビジネス、商品、サービスのテーマを語るものである。「自生種豆」のコーヒーと言えば?「ロッキー山脈のひんやりとした清水」を使ったビールはご存じだろうか?

このように、価格、原材料、ポジショニングなど、USPは何をベースにしてもいい。

色やサイズ、香り、有名人の起用、所在地、営業時間などをUSPにしているところもある。

(ダン・S・ケネディ「究極のマーケティングプラン」より抜粋)

たしかに、ダン・ケネディが言ってる「USP」とロッサー・リーブスが言ってる「USP」は、同じことを言ってるようだけど、ニュアンスが若干違うような気もします。

たとえば、私のお店「カフェ&バーNEXT」で行っている「ワンドリンク注文するとカレーが無料」というサービスは、さすがに数百万の人々を動かせるほど強力ではないと思うので、ロッサー・リーブスに言わせればこれは「USP」ではありません。

しかし、「ワンドリンク注文するとカレーが無料」は、競合他店に対する私のお店の位置づけは十分に明確にしているし、私のお店の売りを端的に知らせる方法でもあり、私たちのビジネスを語るものでもあるので、ダン・ケネディに言わせれば、これは「USP」なのかもしれません。

実際、「ワンドリンク注文するとカレーが無料」というサービスは、口コミが口コミを呼び、しまいにはテレビの取材が殺到するというところまでいったわけだし、じゅうぶんにライバルとの差別化に成功したユニークな提案だったと私はそう思っています。

結局、USPって、なんなのか?

実は、その言葉の定義などは、どうでもよかったりします。

ビジネスは、大学のテストのように、言葉の定義が正しいか正しくないかなんて問題にしません。

より多くの利益を得る。

突き詰めてしまえば、これがビジネスの目的です。(もちろん、そうではないという方もいると思いますが)

利益追求。

その目的を果たすための手段は、その会社ごとに異なります。

トヨタのような世界的大企業と、私のお店のような小さな飲食店では、やり方が何もかも異なるのと同じで、こと「USP」に関しても、人それぞれ解釈が違ってもかまわないって、私自身はそう思ってます。

ただ、私自身、「ワンドリンク注文するとカレーが無料」というサービスを打ち出してみてわかったことは、ライバルとの差別化は非常に大事だということ。

そして、ユニークさや独自性。これは、たくさんの人を巻き込んでいくために役立つということ。

そう、クチコミ、テレビの取材をうけるにあたっては、ユニークさが非常に役立った。

また、競合他店が気づかないうちに始めた。ってのもよかった。

「ワンドリンク注文するとカレーが無料」なんてことは真似しようと思えば、いくらでも真似できる。

ただ単に、言葉の言い回しを「逆」にしただけなのだから。

バカバカしいと、人は思うかもしれない。

でも、バカバカしくていいじゃない、別に悪いことをしてるわけじゃないし、お客さんには喜んでもらえるんだから。

そういう想いで、他のお店が言ってないことを、あえて言ってみた。

そしたら成功した。

まぁ、そういうことです。

いかがでしょう。

あなたも、いまいちど「ライバルとの差別化」「独自性(オリジナリティ)」そして「思いついたら真っ先にやってみる」ということ。

この3つの点で、あなたのビジネスを見直してみてはいかがでしょうか。

今回の記事が何かのお役に立てれば嬉しいです。

ご精読ありがとうございました。

雑記

Posted by 時枝宗臣