立て看板の失敗談

今日は、私のお店で起こった、とある「失敗」について、お話しします。
失敗談を話すのは、ちょっと気恥ずかしいのですが、他人の失敗を知っておけば、あなたが失敗しなくてすむと思うので、よかったら参考にしてください。

私のお店、カフェ&バーNEXTは、福岡の繁華街「大名」にある「ステージ1大名ビル」という6階建てのビルに出店しています。
私が出店している「大名」という地域は、東京で例えるなら「渋谷」や「原宿」のような場所で、人通りもにぎやかです。
が、そのぶん飲食店もたくさん出店されている、いわば「飲食激戦地」。
実際、私が出店しているビルにも、私のお店も含め飲食店が8店舗も入ってます。
ですので、その中で「選ばれるお店」になるのは大変。ただ待ってるだけでは、お客さんは来てくれません。
しかも、私のお店は、路面店ではなくビルの4階。
だから、集客も、なかなか大変です。
これが、もし、ビルの1階に出店している「路面店」のオープンカフェだったら、お客様はお店の雰囲気もひとめでわかるので入ってきやすい。
が、ビルの4階にあるようなお店は、前もってお店の雰囲気もわからないし、わざわざエレベータに乗らないといけないし、とにかくオープンカフェと比べると、面倒くさい。抵抗がある。
そんな、お客さんの抵抗を、どうやわらげるか?
お客さまに、わざわざエレベータに乗って4階まで来ていただくために、どうするか?
そのひとつの方法が、路面に「立て看板」を置くという方法です。

私がお店を出店しているビルのエントランスは、人通りは多いので、そこに「立て看板」を置いて、お客さまが興味を持つようなメッセージを書いておく。
エレベータホールに、「コーヒー100円」とか「ワンドリンク注文でカレーが無料」というようなメッセージを書いた「立て看板」を置いて、なんとか4階のお店まで来てもらう。
「立て看板」も、ひとつの「広告」と考えれば、まずは注目してもらわなければ意味がありません。
だから、「立て看板に、どんなメッセージを書くか」ということには、とても気を使います。
あるとき、私のお店のスタッフが、立て看板に、こんなメッセージを書きました。
「男性1名、女性1名、カップルでご来店の場合、1名さま半額!」
お店のある「大名」という地域は、女性を連れた男性が、たくさん歩いている。だから、カップルで来店したお客さまに「割引」をすれば、より多くの方に来てもらえるだろう。
狙いは、いいと思いました。
が、これがなかなかうまくいかなったのです。
立て看板に「カップルで来店すると1名半額」というメッセージを書き始めてから1週間がたち、思うほど効果が出ないとスタッフたちも悩んでいたある日。
スタッフは、衝撃的な事実を目にすることとなります。

「わたしたち、つきあってないから、カップルじゃないよね」
どういういきさつで、そんな話になったのかはわかりませんが、立て看板の前で、そんな話をしている男性と女性を、スタッフが見かけたのです。
カップルじゃないから半額にはならない。
私たちのメッセージを見て、そう思う人が、たくさんいた。
ということに、このとき、スタッフは気づきました。
つまり、「カップルではない」お客さまを、私たちは、みすみす逃してしまっていたのです。
私たちからすれば、別に、来店してくださる2人が、お付き合いしていても、そうでなくても、かまいません。
たとえば仕事の同僚や、学生時代の友人、同級生、親子、兄妹など、とにかく、男性1名女性1名の組み合わせで来店いただければよかったのです。
目的は、来客者数を増やす。ということだから。
そう考えると、今回、立て看板に「カップル」という文字を書いたのは失敗。
善は急げ。
スタッフは、急いで、立て看板を書きなおしました。
「男性1名、女性1名でご来店の場合、1名さま半額!」
そう書きなおしたとたん、ぐっと来客者数が増えました。
なんと、男性1名女性1名の組み合わせの来店者数が150%もアップ。
やったことといえば、「カップルで」という五文字を消しただけなのに。
いかがでしょう。
私たちは、日常、いろんな「コトバ」を使ってコミュニケーションを行っています。
今回の「立て看板」のケースのように「相手に何かをしてほしい」と思って、なんらかの文章を書くことも多々あることでしょう。
そんなとき、ちょっとした「コトバ」の使い方で、相手の反応は大きく変わってくる。
たとえば、シェービングクリーム(ひげそりクリーム)を販売する際、「ひげをそる時間を6分間短縮する方法をご存知ですか?」と声をかけるようにしたら、売上が102%アップした。
が、「私はいつも3分ですませてるけど」と答えるヒゲの薄い人もいるため、声のかけ方を「ひげそりの時間を半分に短縮する方法をご存知ですか?」に変えてみたところ、もっと反応はアップし、ある百貨店では300%も売上を伸ばした。
これは、1937年に原書が出版され、現在でも営業教育書の草分けとして世界中のセールスパーソンに愛読されている「ステーキを売るなシズルを売れ」という本に書かれているエピソードですが、世の中には「言い回しを変えただけで売上や集客の反応が変わった」事例は、数多くあります。
こういった事例を数多く知っておくことは、あなたのビジネスに必ずや役立ちます。
知ってるか、知らないか。
まずは、そこで差が生まれてしまうのです。
私は、飲食店の経営だけではなく、年商5億、10億規模の通販会社や、一部上場企業のネット集客のアドバイスなども仕事としています。
ノートパソコン1台で毎月500万円以上稼いでいると、BigTommorowというビジネス雑誌や、週刊誌、新聞なんかでも取りあげられたこともあります。
私が2年前から経営している飲食店「カフェ&バーNEXT」は、もう数え切れないくらいテレビの取材を受けました。
こういった仕事を、もう何年も続けていて、専門書なども数多く出版していますが、ビジネスというものは、どれだけ成功事例を知っているか。ということが思いのほか成功を左右します。
知っているか、知らないか。
それが勝負を左右することさえあります。
私が発信する情報が、あなたの成功の手助けになれば、とても嬉しいです。
今後とも末永く宜しくお願い致します。