一万時間の法則

複雑な仕事をうまくこなすためには最低限の練習が必要だという考えは、専門家の調査に繰り返し現れる。それどころか専門家たちは、世界に通用する人間に共通する「魔法の数字(マジックナンバー)」があるという意見で一致している。つまり一万時間である。

「調査から浮かびあがるのは、世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも、一万時間の練習が必要だということだ」

そう述べるのは、神経学者のダニエル・レヴィティンである。

「作曲家、バスケットボール選手、小説家、アイススケート選手、コンサートピアニスト、チェスの名人、大犯罪者など、どの調査を見てもいつもこの数字が現れる。もちろん、だからと言って、一部の者が他の者よりも、練習から大きな成果が得られる理由がわかるわけではない。だが、一万時間より短い時間で、真に世界的なレベルに達した例を見つけた調査はない。まるで脳がそれだけの時間を必要としているかのようだ。専門的な技能を極めるために必要なすべてのことを脳が取り込むためには、それだけの時間が必要だというように思える」

「OUTLIERS -The Story Of Success- /マルコム・グラッドウェル」より抜粋

「音楽好きな脳―人はなぜ音楽に夢中になるのか」の著者でもあり、レコードプロデューサーとしての異色のキャリアも持つ認知心理学者・神経科学者のダニエル・レヴィテンによる「世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも、一万時間の練習が必要」という主張を、「一万時間の法則」として世界中に広く知れ渡らせたのが、いま世界で最も人気のあるビジネス書作家と言われるマルコム・グラッドウェルです。

マルコム・グラッドウェルは、自身の著書「OUTLIERS -The Story Of Success-」で、インターネット界のエジソンと呼ばれることもあるサン・マイクロシステムズ社の創業者ビル・ジョイや、世界的に有名なザ・ビートルズ、世界一のお金持ちビル・ゲイツなどを例に挙げ、この「一万時間の法則」をわかりやすく解説しています。

いかがでしょう?

1万時間というと、なんとも、とてつもない膨大な時間のような気がします。

が、しかし、たとえば、1日8時間、仕事に取り組むとして、1週間で40時間、1年間を52週で計算すると、1年で2080時間。

つまり、1日8時間取り組めば、約5年で1万時間取り組んだことになる。

そんな計算が成り立ちます。

実際、私自身の経験を振り返っても、インターネットビジネスの世界に飛び込んだのが2005年で、そこから5年後の2010年に、飲食事業に新規参入を行ったりと、かなりの事業拡大を図っていますので、マルコム・グラッドウェルが言うところの「一万時間の法則」は、なんとなくではありますが腑に落ちるところがあります。

私の場合は、インターネットマーケティングの専門家としてのキャリアが携わる仕事としては一番長いのですが、やはりそのキャリアにさらなる磨きがかかるのにも1万時間、つまり5年くらいはかかったのかな?と漠然ながらも思っています。

と、同時に、消費者的視点で考えても、たとえば弁護士のようなプロフェッショナルに何かを依頼するようなケースだと、やはり、経験が5年にも満たないような人間よりも、少なくとも5年以上のキャリアがある人間に依頼したいと思ってしまいます。

マルコム・グラッドウェルは、自身の著書「OUTLIERS -The Story Of Success-(邦題:天才! 成功する人々の法則)」で、こうも言っています。

才能、好機、そして偶然与えられた優位点

この三つの要素が成功に影響を及ぼす。

リバプールで1時間のセッションしかしたことがなかった駆け出しの頃のビートルズが、たまたまハンブルグのストリップ劇場で専属バンドとして仕事をすることになり、毎日8時間、週7日、休むことなく演奏をさせられた話。

若き日のビル・ゲイツが、当時の世の中ではコンピュータを自由に使える環境にある人間などそういない中、偶然に偶然が重なり、常にコンピュータを自由に使える環境にあったこと。

ビートルズが、駆け出しの頃、もし、ストリップ劇場で毎日8時間、週7日という過酷な労働条件で、合計で1200回ものライブを行っていなければ?

若き日のビル・ゲイツが入学した大学に、もし、コンピュータが置いていなかったら?

そう考えると、成功というものは、決して才能と努力によるものだけではなく、偶然のチャンスや運も大きく左右するのだなと、私はマルコム・グラッドウェルの「OUTLIERS -The Story Of Success-(邦題:天才! 成功する人々の法則)」を読んで、そう思いました。

マルコム・グラッドウェルの「OUTLIERS -The Story Of Success-(邦題:天才! 成功する人々の法則)

すごく良書ですし、いろんなところで絶賛もされてますので、よかったら読んでみてください。

ご精読ありがとうございました。

雑記

Posted by 時枝宗臣